「爽子」
お母さんの安堵した声。

一方爽子の方は、
「えっ、パパ。なんで・・・」

「お前を呼び戻すために一芝居打ったんだよ」

「そんな、ひどい」
不満げに唇をとがらせる。

「まぁいいから上がりなさい」
お父さんの一言で俺たちも皆リビングに移動する。


「とにかく帰ってきてよかった」
爽子が無事帰ってきたことにお父さんは目を潤ませている。

「嘘をつくなんてひどい」
自分のことは棚に上げて文句を言う爽子。

「あなたが連絡も入れないからでしょう」
お母さんが言っても、
「メールしたでしょ」
「どこにいるのか位知らせなさい」
「いいじゃない。子供じゃないんだから放っておいて」
全く悪びれる様子はない。

何なんだ。
1週間も無断外泊をした娘に、なんでこんなに甘いんだ。