爽子の消息がつかめなくなって5日ほどたった。

わがままお嬢様は姿を消したまま、いくら連絡しても電話に出ようとしない。
それでも電源を切らないのは、俺が切るなと言ったからだろうか。


はあー。

それにしても困ったものだ。
爽子のお父さんもお母さんも、心配であまり眠っていない様子。
大学を卒業し社会人になった娘に多少過保護だとは思うが、それだけ大切にしていると言うことだ。

「社長、気がかりがおありならスケジュール調整しましょうか?」
弘子さんに声をかけられてしまった。

これで何度目だろう。

「うん、まだ大丈夫です。本当に困った時にお願いします」

電話に出ないにせよ、ちゃんとコールしていて向こうから何も言ってこないのは元気でいる証拠だと信じたい。

ったく、爽子は一体何を考えているんだ。