「素敵なところね」

窓越しの風景は、緑豊かでのどかな田舎町。
もちろん道路も整備されているし、お店だって点在する。

「もうすぐ着くよ」
「ええ」

こんな自然豊かな場所で、泰介は育ったのね。


泰介とのお見合いから5ヶ月。
食べ物の好みだってわかるようになったし、一緒に歩くときは手をつないだりして、恋人なんだと自覚も持てるようになった。
そしてこの週末、私と泰介は泊まりがけで出かけていた。


きっかけは2週間ほど前。
「今度の週末に土日と続けて休みがとれそうなんだ」

そう言われたときには、へー、珍しいな。くらいにしか思っていなかった。
普段から忙しくしている泰介が、土日連休がとれるなんて本当にないことだったから。

「ちょうど大きなプロジェクトが終わって、休みが取れそうなんだ。それで、良かったらどこか行こうか?」
「え?」
どこかって・・・

今までだって、週末は必ず2人で会っていた。
水族館や美術館、時にはお食事だけって事もあったけれど、

「遊園地でも、テーマパークでも、温泉でも、俺は爽子と一緒ならどこでもいいよ」

それって・・・泊まり?

この時になって、やっと泰介の言いたいことが理解できた。
同時に、顔が赤くなってしまった。