クール(?)王子の仲井くん

「俺の言うことなんでも聞いて。」


彼の至って真面目な顔で放たれたおかしな言葉に生ぬるく湿った風が私達の間にひゅっと吹き抜けた。


この人完全に頭いってらっしゃる…


「え?いや、わん もあ たーいむ」


「は?耳おかしいんじゃないの?かなり大きめの声で伝えてあげた、はずだけど」


"あげた" という言葉に力強さを感じたからなんだかむっと来たけどこの人の性格ホントに違うんですけど!


それはそれで悲しいよ!


「み、耳おかしいって…いやなんでもって…」


「当たり前でしょ?こんくらいで許してやるんだから感謝して」


仲井くんは私より15センチくらい高い身長を生かして上から私を嘲笑うかのようにして見下ろしていた


「私に拒否権は…勿論 あ 「ないにきまってんじゃん」


私の発言権までかっさらっていったよ!


「てことでヨロシク。明日から色々こき使う予定だから」


それ以上言わせまいと言うかのように早歩き気味で仲井くんは去っていった


「は…」

そして道端には私の掠れた声だけが取り残されていた。