夜道が暗すぎて危ないからと車中泊になった俺たちは燃料が無くならない事を願いながら森から動物が下りてこないか気にしていた。そんな、皆が寝静まった夜。バスの扉が開く音がして起きてみると、柏崎さんが外へ出る所だった。
本当ならそっとしておいた方が良いんだろうけど、追い掛けてしまった。いつもの柏崎さんならバスを降りる前に起こしてしまったと謝るはずだと思ったんだ。なのに、見向きもせずに降りていった。それも、ふらっと頼りなく。
一歩外に出るとプラネタリウムも顔負けのたくさんの星が光っていた。本当に綺麗で外に出てきた目的を忘れかけたけれど、瓦礫の崩れる音で思い出せた。俺、彼女を追い掛けていたんだ。
月と星の光だけが照らす夜道で彼女を見失わぬよう追い掛けていると意外な場所に辿り着いた。彼女の嫌いな海だったんだ。しかも、海水の中に服も靴も脱がないまま入っていく彼女。