私が凛太郎くんを変えるなんて自惚れていると言われてしまえばそれまでなのかもしれない。私が初めて見ただけで、凛太郎くんは私との出会う前から何も変わっていなかったのかもしれない。でも、確かに変わったんだ。嫌な事は嫌だとはっきりと言うようになったし、周りをちゃんと見るようになった。周りを心配するようになった。
私の見方が変わったから凛太郎くんの性格が変わったように見えるのかもしれない。それでも私は嬉しかった。いつも教室で心ここにあらず。人気者というだけではなくて、たくさんの人に囲まれているのにどこか寂しそうで、作られた人形のように感情が見えなかった凛太郎くんの事が苦手だった。でも、この屋上で話して感情が見えるようになっていって。悪い人じゃない、不器用で優しい人なんだと知った。恥ずかしがり屋で他人思いなんだと知った。