凛太郎くんが他の人と恋人になってしまうのは嫌だけど、告白する気の無い私に止める権利なんて無い。慶太郎くんのように応援しなきゃ、友達の恋も応援できないのかって嫌われちゃうのかな。

「何だよそれ!兄弟の恋を応援するのが悪いのかよ!」

「悪くないけどでしゃばるなって言ってんの!」

「凛が積極的にならないからだろ!何十年掛かるんだよ!」

男同士の喧嘩が怖いのか、二人の勢いが怖いのか。晴人が体を震わせながら、後ろから抱き着いてきた。唯野さんが短気な所があるから男の人の喧嘩は見慣れていると思っていたけど、歳が近い人の喧嘩は見え方が違うのかな。
私はいつもの癖で前に回された晴人の腕を擦っていた。