ちょうど梅雨時で、しとしとと雨が降っていた。 湿気もすごくて、本当に気が立っていたことを覚えている。 そんな中、カランと扉が開いた。 瞬間、母は獣医の顔になる。 毎回のことだけれど、そんな母を俺は本当に尊敬している。 けれど、この時だけは。 戸を開けて立っていた女の子に、意識を全部持っていかれていて。