「あ、愛唯〜!!!」



眠たい目を擦りながら、集合場所の学校に行けば、もうすでに私の班の人達はそろっていた。




「遅くなってごめんね!!」





「まだ全然大丈夫!愛唯ちゃん、今日も可愛いね!」





「ふふ、ありがとう、神田くん。」






神田くんはいつも私を可愛いって言ってくれる。初めは照れてたりしたんだけど、なんだかもう慣れちゃった。






「ほんと楽しみだね!!」




「ね!楽しみ!!」





しばらくして、出発式をしてからバスに乗り込んだ。





「また奏多の隣か〜。」





「なんでこんなにも隣なんだよ…。」






「ほんとに菜湖ちゃんと神田くん、ずっと隣になるね。」






「あー、私も愛唯の隣がよかったよ〜!!」






「ごめんね、愛唯の隣は私だから!」






「おぉ、またやってる。倉森の争奪戦。」







「私争奪されるくらいの価値ないと思うんだけど……。」






事ある毎に私の奪い合いをする菜湖ちゃんと希空ちゃん。そんな2人は仲良いけれど、火花バチバチ。





「いやいや、俺はあると思うよ、価値。倉森さんが気づいてないだけで。」






「うーん……。」







前からヒョコッと後ろを向いて話す吉本くん。吉本くんは新坂くん達と同じバスケ部らしくて、この班に入った。私も最近はちょくちょく、話すようになった。





「そろそろバスが発車します!」





アナウンスがかかり、言い合っていた菜湖ちゃんも希空ちゃんも、言い合いをやめて大人しく座席に座った。


私の座席は1番後ろの左側。希空ちゃんと2人。その隣、右側が神田くんと菜湖ちゃん。ちなみに私は通路を挟んで菜湖ちゃんと隣。そして私の前が新坂くんと吉本くん。





「楽しみだね、愛唯!」






「うん!希空ちゃん達とお泊まりできるの、本当に嬉しい!!」






「もー、ほんと可愛い!!」





「きゃ!」






ギュッと抱きつく希空ちゃん。もうそろそろこの仕草も行事みたいなものになってきた。





「なあなあ、なんかゲームしない?」





そう口を開いた神田くん。






「いいね!何する??」






「しりとり…とか??」






「しりとりとか小学生ぶり!いいね!やろやろ!!」





「じゃあ、しりとりはじめ!湊から!」






こうして始まったしりとり。順番は新坂くん、吉本くん、希空ちゃん、私、菜湖ちゃん、神田くんになった。





「めだか」





「カラス」






「す、スイカ!」






「か、かもめ!」





「めんたいこ!」





「こうもり!」






「りす」






あれからしばらく、ずーっとしりとりをしている。そろそろいう言葉がなくなってきた。






「は、は、は…」





「奏多ギブアップか?」





「ギブアップはしたくねー!」






「こんなとこで、負けず嫌い発揮しなくてもいいよ、奏多。」





「神田って負けず嫌いなのね、知らなかった。」





「俺も知らなかったんだよね。神田ってなんかチャラチャラしてるし、そういう雰囲気ないよね。」





「お前らひでーよ!?」





「それで、奏多、はやくしてよ」






「は……あ!ハムステーキ!」






「それ言ったよ、神田くん。」





「嘘だろ?!…………ぎ、ギブアップで。」






「いぇーい!奏多の負け〜!」







「クソッ!」







「まもなく、到着です。皆さん、降りる準備をしましょう」






アナウンスの言葉を聞いて、外に目を向けてみれば、見渡す限り緑、そして真っ青な海。しりとりしていて気づかなかったけれど、いつの間にか自然豊かな場所へと変わっていた。







「うわぁ、すごいね!めっちゃ空気澄んでる!」





「希空ほの言う通りだわ、ほんと空気澄んでる!」





「心が浄化されてく…」





「愛唯ちゃんおもしろい!俺も心が浄化されてく!」






「じゃあ、そのチャラ男治るんじゃね?な、奏多!」






「うっせーよ!それとこれとは別だ!!」






「はーい!今からお昼ご飯にするので、班ごとに並んで!」





学級代の声に従い、班ごとに並ぶ。班ごとに並べば、ひと班ずつ、指定のBBQをする場所に。






「うわ、いっぱいある!」





「めっちゃ食えんじゃん!!」





「美味そ〜!!!」






「まだ焼いてないのに美味しそうとか、奏多って実は、ライオンとかでしょ。」





「ちげーわ!」






「もう焼いていいみたいだし、焼こう。」






新坂くんの言葉で男子達が焼いてくれる。神田くん曰く女の子にこんなことはさせられない!らしい。





「材料全部切ってくれてて、あとは焼くだけとかほんと楽だよね!」





「それな!私中学校のときもやったんだけど、自分で全部切らなきゃだったよ」





「私のところも!」






「おーい、そろそろ焼けるぞー!!」






男子達の声に、私たちは駆け寄る。うわぁ、美味しそう!!網の上に並ぶお肉と野菜。






「それじゃ、いただきまーす!!」






「「「「「いただきまーす!!」」」」」







「うお!うっめー!」





「まじうまい!」






「俺、毎日これでいいわ!」





「景色もいいし、余計美味しく感じる!」






「わかる!!」






わいわいと食べて、あっという間ぺろりと完食してしまった。