ナースステーションで冷やかされて、逃げ出した俺。

綾、おいてきちゃったけど、あいつ、大丈夫かな?



「宮野先生、回診ご一緒していいですか?」

綾が後ろから走ってついてきた。

「ああ。」

なんとなく、顔を見るのが恥ずかしくて、顔を見ずに返事をした。

「先生、ありがとうございます。でも、仕事で会うのって、ちょっと照れますね」

「ああ・・・今日、仕事終わったら、薬局に迎えに行く。ちょっと、待ってて。」

「はい、でも、昨日休んじゃったので、残業になっちゃうかもです・・・」

「わかった、じゃあ、終わったら、メールする」

「はい・・・わかりました」



患者さんの部屋に入り、診察を始める。

「市川さん。調子は、どお?」

「痛みは、いいけど、吐き気とだるさがね・・・」

「加藤、吐き気止めは、今何使ってたっけ?」

「○○ですね。でも、△△を追加してもいいかもしれないですね。痛み止め、増やしたばかりなので、2週間くらいで慣れてくるかと思うんですけど。」

「そうだな、じゃあ、市川さん、△△を2週間出してみるね。気になることがあったら、すぐに教えてね」

「はい。わかりました」

「市川さん、後でお薬もってまた、来ますね」

「ありがとね。加藤さん」



部屋を出て、次の部屋に向かって並んで歩く。

綾は、記録も見ずに患者さんが飲んでいる薬をすらすら答えた。次の処方案も的確に提案してきた。

他の患者の診察でも、患者の状況がすっかり頭に入っているようだ。

回診を全部終えて、ナースステーションに戻ると、処方を指示し、記録を整理していると、

「先生、薬局で薬作ってきますね」

ステーションから元気に出て行った。



「綾ちゃん元気になったな。お前のおかげか?昨日の当直、いそがしかったな~誰かが、急に変われっていうからさ~彼女とイチャイチャしようと思ってたのにな~」

と、ニヤニヤの山形。

「悪かったよ。今後、おごるから。」

「今日、飯食いに行こうぜ。4人でさ。もう、大丈夫だろ?綾ちゃん。」

「どうかな、大丈夫だって言いたいけど、あんま、自信なくて・・・」

「モテイケメンが、弱気だな~」

「大事にしたいんだよ!4人での飯は、綾に聞いてみてからにする。」

「俺たちは、仕事終わりに、いつもの居酒屋に行ってるから、これそうなら来いよ。」

「ああ」





山形と向井さんと食事か・・・綾、まだ、きついかな?

とりあえず、綾に聞いてみるか