ピピピピピ・・・・・

携帯のアラームが鳴る。

目をつぶったまま、携帯を探すが近くにない。

目を開けると、知らない光景。いや、二度目の光景。

でも、あの時のように宮野先生は隣にいない。



寝室から出ると、宮野先生はリビングのソファーで寝ていた。



「先生、宮野先生・・・」

近くで、声をかけてみた。



「ん・・・」

宮野先生が目を開ける。



「綾、大丈夫か?調子は?ちゃんと寝れたか?」



「はい。すみません、先生のベッド占領しちゃって。先生は大丈夫ですか?」



「あ、俺は大丈夫、ソファーで寝ちゃうのはよくあるし、医局でもソファーでよく寝てる。朝飯食えるか?」



「少しなら」



「じゃあ、ちょっと待て。ここに座ってろ。」

私をソファーに座らせてキッチンの方に歩いて行って、カチャカチャ何かを始めた。



「加藤、こっち来い」

ダイニングテーブルには、トーストと目玉焼き、ヨーグルト、オレンジジュースが並べられていた。

「ほら、食え。野菜がなくて、申し訳ないけど」



「いえ・・・いただきます」



先生の用意してくれた朝食を食べ始めた。



「今日は、仕事は休め。俺は、今日は日勤だし、オペもないから、夕方には帰る。夕方までここで寝てろ。帰ってきて調子が良ければ、うちに送って行ってやるよ。」



「いえ、ここからは近いので、歩いて帰ります。仕事はお休みさせてもらいます。」



「じゃあ、俺が仕事終わったら、加藤のうちに様子を見に行く。それなら、朝仕事行くときに送ってやるよ」



「でも・・・」



「決定な、じゃあ、俺、準備してくるから。食べたの、そのまま置いといてくれていいから。」



先生は食べた食器をキッチンに持って行ってから、寝室に入っていった。

私は、食べ終えて、食器をキッチンに運んで、洗い始めた。

ちょうど洗い終わったころに、スーツ姿の宮野先生が出てきた。

「置いといてよかったのに。ありがとな」



「いえ、じゃあ、私も着替え・・・」

「車で送ってやるから、そのまま帰れ。服はもってかえればいいだろ?今日は一日、ゆっくりしてろよ」



先生のスウェットで帰ることに。



先生の車に乗り、あっという間にうちに着き、車から降りたところに、

「ゆっくり休めよ。仕事終わりに様子見に来るから」と、声をかけられた。



「はい・・・」

私は、先生の言葉がなんとなくうれしくなり、うなづいた。