目が覚めたら、少し体が軽くなったような気がした。点滴もほとんど終わっているので、ナースコールを押して、看護師さんを呼んだ。

部屋に入ってきたのは、看護師さんではなくて、宮野先生。

「加藤、調子はどうだ?」

「すみません、ご迷惑かけて。すっかり元気になりました。」と、笑顔を作った。

「症状はいつからなんだ?」

「大丈夫ですよ。もう元気ですから」

「元気な振りしてるだけだろ。検査してみるか。」

「そんな、大丈夫ですよ~。」

と、起き上がろうとした私を、宮野先生が抱きしめた。



「え?先生?」

「無理すんな。俺じゃダメか?」



なぜか、宮野先生に抱きしめられて、ほわっと心が温かくなった。

息がしやすい。ビー玉、どこかに行っちゃったのかな?



「先生。息が・・・」

「ご、ごめん。苦しいか?大丈夫か?」

あせって抱きしめていた手をパッとはなす宮野先生。



「なぜか、息がしやすくなりました。なんでだろ。最近、息がしづらいし、眠れないし、体調も悪かったのに、なんか、急に、すっきりしました。ありがとうございます」