病棟に行くと、真っ青な顔をした加藤が、手に持っていたペンを机に落とし、崩れるように倒れる瞬間だった。

「加藤!」

俺の伸ばした手が、加藤を支える。倒れなくてよかった。

気づいた看護師が「加藤先生。大丈夫ですか?」と、集まって来た。

「ストレッチャー。部屋あいてるか?」と、俺がさけぶと

「観察室あいてます。ストレッチャー持ってきます。」と、走り出したが、

「いやいい。観察室なら、このまま運ぶ」

加藤を抱きかかえ、ナーススーションの隣の観察室に運んだ。

「い・いきが・・・で・き・・・・・・・な・・・・・・・・・・い」

加藤が苦しそうに声を出す。

えっ?息ができない?

パニック発作?なんだ?窒息はないだろうし・・・







走って来た看護師に

「とりあえず、安定剤1筒持ってきて。」と、指示を出す。



安定剤を注射された加藤は、そのまま眠りについた。



「最近、加藤先生おかしかったんですよね。頭が痛そうだったり、薬をけっこう飲んでたみたいだし。調子悪そうだった。」と、看護師が話だした。

「綾ちゃん大丈夫なのか?」と、山形も観察室に入って来た。

「息ができないって倒れたんだ。最近全然会ってなかったんだけど、調子悪そうだったって、看護師たちが言ってた」

「確かに、最近青い顔してた気がするわ。ちょっと、痩せたみたいだったし」

「調子悪そうなら、声かけてやればよかったじゃないか。」

「いや、俺が綾ちゃんに声かけるのはおかしいだろ。お前がかけてやれよ。気になってんだろ。」

「んぐ・・・」何も言えなくなった・・・