加藤が病棟に来ている気がして、外来を終わらせて病棟に急いだ。

でも、加藤は病棟にいなかった。

取り合えず、患者さんたちの顔を見てこよう。

斎藤さんの病室に入ると、

「おー宮野先生。今さっきまで綾ちゃんいたのに。残念だったな」ニヤニヤ。

「痛みはどうですか?」

「綾ちゃん、最近元気がなくて、心配だよ」

「加藤の心配じゃなくて、斎藤さんの痛みは?」

「まあ、こんなもんだよ。年末年始には外出したいんだけど、ちょっと無理かな?家族が見舞いにゆっくり来てくれるから、それであきらめるかな」

「外出は、少しくらいなら許可しますよ」

「まあ、外出たら、ここに帰りたくなくなるし、外で、なんかあっても困るし、ここにいるよ」

「そうですか。じゃあ、ご家族とここでのんびりですね」

「そうだね。先生、正月休みは?」

「年越し当直なので、長くは休めないかな」

「お、綾ちゃんと一緒だね、年越し当直。」

「年越しは忙しいから、一緒とは言えないですよ。ばたばたです。顔も見ないんじゃないかな」

「そかそか。でも、綾ちゃん見守ってやってくれよ。気になってるんだろ」

「はいはい、じゃあ、今日は行きますね。また、明日の夜顔出しますね」



斎藤さんにばれてる・・・

恥ずかしすぎる・・・

でも、加藤も年越し当直か。どっかで会えるかな。