「ねぇ、すず。陽二くん、また…」
「ん。わかってる。」
「いいの…?」
「ん。」
「そっか…
てかさ、昨日さ…」
そう言って目の前で話を続けるのは、中学時代からのあたしの親友、愛子。
きれいで大人っぽい顔立ちをした愛子は中身までも大人で、あたしにとってはお姉ちゃんみたいな存在だ。
そして、あたしは星川鈴。
あたしには、付き合って半年になる彼氏がいる。
優しくてカッコイイ彼だけど、彼には悪い癖がある。
それは浮気癖。
付き合って半年。
彼はもう数えきれない程浮気してきた。
いや、彼が覚えていないだけで、あたしは正確に覚えている。
昨日で10回目の浮気。
その相手は3回目のときと同じ相手。
浮気をする度、彼はいつも謝ってくる。
同じ言葉で。
だからあたしも許すの。
同じ言葉で。

