こんな恋の話【短編集】






「なぁ、陽二…

もう星川と別れろよ。」


昼休みの屋上。


俺たち以外、他には誰もいない。


呟くように放たれた拓也の言葉に、俺は思わず手を止めた。


「急に何言ってんの?」


「お前、星川のこと本当に好きなのか?正直、利用してるようにしか見えないんだよ。
…昨日さ、言われたんだ。別れさせろって。星川が可哀想だからって。
陽二はどうでもいいかもしれないけど、星川のこと好きなヤツだっているんだよ。ソイツらからしたらさ、お前みたいなのって、すげぇムカつくと思うんだ。」


拓也の言葉が、俺の心に重くのしかかってきた。


考えたことなかった。


考えようともしなかった。


すずを好きなヤツ。


そんなこと、考えたくもなかった。


でも…


もし俺がその立場だったら。


俺はそんな彼氏、絶対認めたくない。


俺の方が幸せにしてやれるのにって。


絶対そう思う。