こんな恋の話【短編集】






ねぇ、冬矢。


あたしね?


憧れとか、そういう気持ちで大くんのこと好きだったわけじゃないんだよ。


ちゃんと。


ちゃんと恋してた。


でもね?


きっと。


いつの間にか、大くんよりも好きになってたんだ。


冬矢のこと。




冬矢があたし以外の女の子と仲良くするのが嫌。


あたし以外の女の子と話をするのが嫌。


本当はね?


自然にあたしのかばんを持ってくれることが不安だった。


あたしの服を選んでくれることが不安だった。


髪をいじってくれることが不安だった。


女の子の扱いには慣れてる冬矢が嫌だったの。