こんな恋の話【短編集】







プルルー プルルー


『はい。冬矢?どうしての?』


電話越しに聞えてくるさくらの声。


ざわざわと雑音が混じっている。


今、映画館?


アイツは?


上手くいってる?


そんな話を一通りして、俺は静かに話しだした。


「さくら。」


『ん?』


「俺の話、聞いてくれる?」


『うん。何?』


「お前絶対驚くと思うけど。」


『ん?何?』


「………。シンデレラはさ、王子様を好きに…」


『えっ、待って。話ってシンデレラの話?そんな話?』


「ごめん、大事な話だから黙って聞いて。」


そう釘をさしてからもう一度話しだした。


「シンデレラはさ。王子様を好きになる。それで魔法使いに助けられて王子様と結ばれる。


それがおとぎ話のシンデレラ。
これからするのは“もしも”の話。」