わかってる。
わかってる。
俺は魔法使い。
シンデレラの幸せだけを強く願っている。
王子様と結ばれること。
その幸せのためにだけ、魔法をかける。
俺が女だったら良かっただろうか?
おとぎ話の魔法使いは確か女だった。
それと同じように、女だったら良かっただろうか?
そしたらきっと、こんな思いはしなかっただろう。
こんなに悩んだりはしなかっただろう。
そう、思ってた。
そう、思ってたんだ。
でも…
でもきっと。
男じゃなかったら。
好きじゃなかったら。
俺は魔法使いになんてなってなかった。
今ならそれがはっきりわかるんだ。
だから。
後悔するのは止めよう。
悔やんだりするのは止めよう。
だから、せめて。
なら、せめて。
最後に一つ。
一つだけ。
もしもの話をしてみたい。
俺の思い描いた、おとぎ話とは違うシンデレラの話。

