あの音楽室の次の日。
失恋したって言って髪を切ってきたさくら。
ショートカットにしきれなくて肩のところで切られた髪は、断ち切れなかった想いの表れ。
“古典的だな”
そう笑ったけど、俺はさくらの顔を見ることができなかった。
毎日毎日。
今日は大くんが手振り返してくれた。
今日はおはようってあいさつしてくれた。
目をキラキラさせながら楽しそうにそんな話をするさくらに、相槌を打つことで精一杯だった。
アイツに映画に誘われた日。
“本当にありがとう”
涙目になりながら何度もそう繰り返したさくらを見た俺の顔が一瞬歪んでしまったこと、さくらは知らないだろう。

