こんな恋の話【短編集】






泣き止んだ彼女は、途切れ途切れに話しだした。


好きな人がいること。


その人はみんなに人気で、自分にはとうてい手に届くような存在じゃないってこと。


そして今日、その人に彼女がいると知ってしまったこと。




「可愛くなりたい。」


独り言のように呟く彼女。


胸にチクッと痛みが走った。


なのに、同時に口をついて出たのは、




「協力してやろうか?」




そんな、バカな言葉。


同時に沸き上がったのは




“力になりたい”




そんな、バカな気持ち。




キリキリと痛む胸の痛みを誤魔化しながら、俺は彼女に笑顔を向けた。


真っ赤になった彼女の目に、ほんの少し光が見えた。


そんな気がした。




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