こんな恋の話【短編集】






同じクラスの藤堂さくら。


それが秘かに思いを寄せていた相手だとわかると、胸の奥が突然騒ぎだした。


「サボり?教室でショート、やってるけど?」


うるさい心臓を誤魔化すように、ポーカーフェイスを保ちながら声をかけた。




「普通…。大丈夫?とか、どうしたの?とかって言うんじゃないの?」


不貞腐れてたようにそう呟いた彼女に、俺の胸はまた騒ぎだす。


心臓の音、聞こえちゃうんじゃないか?


そんなことを考えながら、俺はそれを隠しながら口を開く。


「どうしたの?」


俺の言葉に、彼女は俯いて唇を噛み締めている。


そんな彼女が何だか痛々しくて、気付いたら勝手に口が動いていた。


「泣けば?」


その言葉を待っていたかのように、彼女の目からは次々に涙が溢れだした。