「続きまして、お祝いの言葉をいただきます。新婦の大学時代の友人、永田志歩さん。お願いします。」
名前を呼ばれて立ち上がる私の横には、私の手を取りエスコートするお兄ちゃん。
会場がドッと沸き上がったのがわかった。
手を取り合う私たちは、恋人にでも見えたのだろうか?
そんなことを考えながら、少し急ぎ足でマイクに向かっていく。
私を引くお兄ちゃんの手が止まったのを合図に、私は静かに口を開いた。
「まずは、結婚、おめでとうございます。
新婦の優子さんには、大学時代からとても仲良くさせていただいています。優子さんは上品……とは決して言えないものの、とても優しく、温かい人です。
話が反れてしまうかもしれないけれど、私は目がほとんど見えません。遺伝性の眼の病気で、今も、こうして兄の力を借りてここまでくることがやっとです。そんな私が大学を無事卒業できたのも、優子さんのおかげだと、そう思っています。
ありがとう、優子。幸せになってね。おめでとう。」
すっかり静まりかえった会場に、私の声はとてもよく響き、優子の啜り泣く声が聞こえてくる。
「ありがとう…」
優子の涙混じりの声を聞き、私がきれいに頭を下げると、会場に大きな大きな拍手が湧いた。
それが何だか、少しだけ嬉しかったんだ。

