こんな恋の話【短編集】






「新郎新婦の入場です。」


その言葉を合図に、入場する二人。


冷房によって冷やされた会場内は、夏だということを忘れさせるくらい、冷えきっていた。


開け放たれた扉から歩いてくる二人に、温かい歓声が注がれると、さっきまでの肌寒さが嘘のように、温かい気持ちにさせられた。




たくさんの人たちに見守られて歩く二人の姿は、私の目にもぼんやりと映っていた。


今、二人がどんな顔をしてるのか、はっきりはわからない。


元から悪かった視力は0.1にまで下がって、視野もかなり狭まった。


進行は止まったものの、一人では外を歩けないくらいにまでなってしまった。


でも、きっと笑顔なんだろう。


笑っているんだろう。


目一杯の幸せを感じているんだろう。


そう思うと、自然と笑みが零れる。


理屈じゃなく、自然と…