こんな恋の話【短編集】






幾度となく流した涙は、目が見えなくなる恐怖や悲しみではなくて。


大好きな人と離れなきゃいけないっていう、何とも言い難い喪失感からだった。


潤クンの笑う顔。


潤クンの怒る顔。


髪を掻き上げる仕草。


私の頭をクシャッてする瞬間。


潤クンのする何気ない仕草や表情…


その全部全部


愛しくて堪らない…


忘れたくなんかない。


でも、全部を全部覚えていられる程、私の記憶力はよくないから…


せめて、私が一生忘れられなくなってしまうような、最高の笑顔を見せてほしいんだ。


忘れないように…


この目が見えなくなったとしても、一生忘れることなどないように…