こんな恋の話【短編集】






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網膜色素変性症


それが私の病名だった。


治療法がまだ確立されていない、遺伝性の眼の病気。


若いうちに亡くなったお母さんがこの病気だったらしい。


異変を感じだしたのは、まだ潤クンと出会って間もない頃…


私が彼に恋に堕ちたばかりの頃…




目が悪くなったな…


なんて思ったその時には、もう進行が始まっていたんだ。


夜、暗くなるといっそう見えにくくなって。


蛍光灯やあらゆる光が眩しすぎる程眩しい。


それをお父さんに伝えると、半ば強制的に病院に連れられて。


この病名を申告された。


だんだんと視力が低下していって、少しずつ視野が狭まる。


失明…


するかもしれない。


そんなことを言われたって、すぐに実感が湧くわけもなく。


私は不思議な程、すごく冷静で。


ただ漠然と、


あぁ、私の目、見えなくなってくんだ


それだけは理解できていた。




……――――