「隣に引っ越してきた笠原です。」


隣の家にあいさつするお母さんの横で、退屈そうに手をブラブラしていると、それに気づいたおばさんがしゃがんで僕を覗き込んできた。


「こんにちは、ゆうき君。」


「こんにちはぁ!!」


元気な声であいさつする僕に、クスッと小さく笑って優しく微笑む。


「すぐそこの公園でみんな遊んでるから行っておいで。」


そう言うと、頭を撫でて僕の背中を優しく押してくれた。


「うん!!」


早く遊びたいと思っていた僕は、何の抵抗もなく目の前の小さな公園へ走って行った。


そこは、大きな滑り台のあるさっきの公園とは全然違う、本当に小さな公園で。


それでも、砂場では同い年くらいのたくさんの子供がお城を作ったりして楽しそうに遊んでいた。


その輪に入っていこうと、片足を踏み出したその瞬間――


踏み出したその足を止めてしまった。