こんな恋の話【短編集】

「あれ?チサ!」


「イツキくん…」


あたしの顔を見てちょっと嬉しそうな顔をするイツキくんを、信じきれない。


信じきれないから、真っ直ぐ視線を合わせられない…


本当に、イツキくんはあたしより長森さんの方が好きなのかもしれない。


それに気付いていないだけで、本当は長森さんのこと―…


そんなことを考えてしまう自分が嫌で…


どこまでも、自分が惨め。


「チサ?どした?」


優しい声をかけられて、涙が出そうになった。


何か喋ったら零れ落ちてしまいそうで…


「……ううん。
何でもない。ごめん…」


偽物の笑顔を貼りつけて誤魔化した。