こんな恋の話【短編集】






祐希が彼女を作っても、私にはどこか余裕があった。


祐希が本気じゃないって知ってたから。


私の方が特別だって思ってたから。


でも、さっきの祐希は違った。


真剣な顔して、怖い顔して私を見てた。


優しく幸を抱き留めてた。


すごく、苦しかった。


すごく、辛かった。


祐希の隣はいつも私じゃない誰かのもので。


それでも傍にいれれば良かったはずなのに…


「もう、苦しいよぉ…… ヒッ クッ……」


涙が止まらない。


喉が痛い。


胸が苦しい。


こんなに辛いなら、いっそ、離れようか?


そんなバカなことしか考えられない。


もう嫌…