こんな恋の話【短編集】






ガラガラっとドアが開いて、あたしは慌てて布団を被った。


「すず?」


薬品の匂いの漂う保健室に、優しい声が響く。


この声は…






愛子―…


「すず。あたしね?アイツのこと、やっぱり好きになれない。最低なヤツだって思う。でも、すずのためにも、伝えたいことは伝えるべきだと思う。」


伝えたいこと…


「このままじゃ、すずが前に進めないと思うから。」


伝えたかったこと…


伝えられなかったこと…


今までセーブをかけてきた。


自分の気持ちに。


わがままを言ったら見放される。


そう思って我慢してた。


でも。


ちゃんと伝えて前に進めるなら。


前に進まなきゃいけないなら。


「頑張る…」


伝えてみようかな…


「うん!!応援してる。頑張れ!!」


絞りだした声は震えていたけど、愛子が頑張れってそう言ってくれたから。


最後に一度だけ、伝えてみたい。


どうしても伝えたかったこと。


どうしても伝えられなかったこと―…