こんな恋の話【短編集】






「陽二くん。」


不機嫌そうに下駄箱に寄りかかる彼。


そんな姿さえかっこよくて。


あたしは見とれてしまうんだ。


「すず…。遅かったな。」


ニコッと微笑むその顔が好き。


低く響くその声が好き。


差し出されるその手が。


透き通った茶色の髪が。


全てが愛しい。


「あ、ごめんね?ちょっと色々頼まれちゃって。」


「別にへーき。鈴のこと考えてたら一瞬だった。」


「ハハッ。陽二くんってば、言うことがいちいちクサイよ。」


わかってる。


誰にでも言うんだ。


そんなセリフ。


あいさつみたいなものなんだ。


でも。


そんな言葉が嬉しいんだ。


だってあたしはまだ、フラれないんでしょ?