私が言い返すと、先生は少し困ったように笑う。
先生を困らせてしまったのかもしれない、という事実だけが残って、その事実からさらに残ったのは「また先生の感情を動かせた」あるいは「また先生の表情を変えられた」という喜びだけ。
「……案外そーかもな。それに、お前らの方が何倍も大人なんだろうな」
「せんせい、」
…なんでそーやって、壁作るんですか。
どうして、違ってるように言ってばっかりなんですか。
「憧れなんてのは、そのままの方がいいんだよ」
「…」
「実際のことを知ったらガッカリするかもしれない」
先生、それは。
やっぱり私の気持ちに気づいてるってことですか。
…なんて。
聞けるわけない。



