「美桜ちゃんか」 黒瀬さんは呟いて それから唐突に ほんと、唐突に 私の唇を塞いだ。 長いまつ毛の 切れ長の目が 目の前にある。 何が起きたのか わかってるけど 理解が追い付かない。 ええええええええっ!? わ、私の初キスが、 奪われた…!? 時間にして数十秒だったけど すごく長く感じた。 数分くっついてたんじゃ ないかってくらい。 唇が離れる瞬間 ふわっと柑橘系の香りが 鼻をくすぐった。 「俺に惚れた?」