「ごめんって」


翌日の昼休み、絢が顔の前で
手を合わせて頭を下げる。


「ビックリしたんだから。
伊織くんが家に来て」

「お見舞いに行きたいって
言うからさぁ…。

いいカレシだよね、黒瀬くん」


それは否定しないけど。

家に来て、おかゆ作ってくれて
食器洗ってから帰ったりなんかして。

それで好きじゃない私としか
付き合わないんだもん。

どうかしてると思う。


「今日は放課後デートでも
行って来たら?
お見舞いのお礼、みたいな」

「うん…。それが誘ったんだけど
用があるって断られちゃって」