住宅街の塀の上を、 黒猫が優雅に歩いている。 その塀に沿って道なりに歩くと、 学校の校舎が見えてくる。 正門に向かって歩く 高校生の群れの中に 見覚えのある背中を見つけ 心臓が跳ね上がった。 会いたかった。 そう思った直後、 彼女が振り向いた。 そして顔を強張らせる。 彼女は顔色を変え、 校舎に向かって走り出した。 私は慌てて 彼女の後を追う。 昇降口で靴を履き替え 彼女は屋上への階段を 駆け上っていく。 「…まって」