―another side



木桶を手に
墓石から彼女が離れる。

私は墓石に腰かけたまま、
彼女の背中を見つめた。


「救えなかったなんて
バカね」


私は目を瞑った。
彼女が元気そうで
安心した。


「貴方はちゃんと救ったよ」


あの繰り返す時間の中で
私を救う方法を考えて
試してたじゃない。

あの日私を救えなかったと
「あぁすればよかった」
「こうしていれば」
と後悔して自身を
攻め続けていた。


「あの日の貴方自身を
救ったんだよ」



Fin