それから月日が流れ――

私は大学生になった。

あの夏、
彼女の死がきっかけで
私は県外の大学を受験し
合格した。

奇しくもあれを機に
“ずっとこのまま”
という呪縛にも似た思い込みを
脱したみたいだった。


「あー、着いた」


バスで数時間。
私は2年ぶりに
町に戻ってきた。

この夏、
彼女の3回忌が
行われるからだ。