「もう、やめよう。
早まらないでよ。
私たち、まだ……」


やり直せる?
まだ始まっても
いないのに?

私は口をつぐんだ。


「私は貴方を
失いたくない」


言葉を慎重に選び
伝える。

フェンスの向こうで
彼女は耳を塞いでいた。


「やめてよ。
やめて。やめて…っ!」


彼女は泣き叫びながら
屋上から飛び出す。