破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします


「アーシェってば、ボクのことをそんなに気にかけてくれてるなんて……ますます好きになっちゃう」


語尾にハートマークをつけるように上機嫌に言ってから、ノアは「いただきまぁす」と薄く小さな唇でストローを咥えた。

吸い上げると口内にほどよい甘さと酸味が広がる。

ノアは最初、見た目が緑なので青臭さがあるのかもしれないと想像していた。

しかし、そんなものは感じられず、むしろとても飲みやすくてごくごくと喉を鳴らして飲むと表情を明るくした。


「なにこれ、めっちゃ美味しい! 野菜入ってるとかウソでしょ? 」

「本当よ。ほうれん草が入ってるの」

「ほうれん草! でも全然感じないよ?」

「バナナの甘味がカバーしてくれてるからね」


もちろんほうれん草など葉野菜の量を多くし、別のフルーツを使えば葉野菜の味は感じるようになるだろう。

けれど、今回はデザートっぽく飲んでもらいたかったので、ほうれん草は少なめにしてあった。


「少しとろっとしてるのはなんで?」

「それはバナナとヨーグルトを入れているからだよ」