破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

火の魔法や水の魔法に氷の魔法。

これらがあれば、野外でももっと料理がしやすくなる。

氷の魔法なんかあれば、一瞬で野菜や果物を凍らせて、冷たいスムージーも作れるのだ。

しかし残念ながらファレ乙はそういった世界ではないのでこればかりは諦めるしかない。

ただ、母がよく調理機器を購入していたのは隣国のモルンロート王国。

モルンロートは技術者が多い国なので、日々新しい調理機器も開発されていることだろう。

そのうち電子レンジみたいなものも生まれてくるに違いない。

そして早く電気で生活ができるようにしてほしいと願いながら、綺麗に洗いカットした食材とシーゾーからもらったヨーグルトが入ったミキサーに鉱石をセットしてボタンを押した。

勢いよく刃が回って、食材を刻んでいく。

アーシェリアスが酒場で購入した野菜と果物は、ビタミンとミネラルが豊富で、特にビタミンを多く含むフルーツは疲労回復だけでなく美容にもウイルス撃退にもいいという疲れた体にはうってつけのスムージーだ。


「こんなものかな?」


滑らかに攪拌された翡翠色のスムージー。

アーシェリアスは籠にグラスとストロー、飾り付けに使えそうだとシュタイルで購入しておいたハイビスカスの花を入れ、あとはミキサーごと持って宿屋へ戻った。