「よっし、お昼ごはんの時間よ! 食べて元気出して町に戻りましょ! ノアちゃんも良かったら食べて」
昨日から夕霧の崖にいたのだ。
森の中に果物か何かあったかもしれないが、ちゃんとした食事はしていないはずだと、アーシェリアスは籠の中からレジャーシートを取り出し昼食の支度にかかる。
「ボクもいいの?」
「もちろんよ! あ、でも口に合わなかっらごめんね」
その時はシーゾーにスターフルーツを取ってもらおうと考え、ライスバーガーをノアに手渡す。
「どうぞ」
「わ、ありがとう」
「はい、ザックもどうぞ」
包み紙を開くノアの向かい側に座るザックも、お楽しみの時間がようやく来たとライスバーガーを受け取った。
自分の分を手にするアーシェリアスの横で、ライスバーガーを不思議そうに見てからかぶりつくノア。
ザックも少し遅れて頬張ると、ふたりは同時に「うまっ」と喜びの声を発した。
ノアもザックもきんぴらを食べたことはない。
それどころか、ライスバンズも初めてだ。