胸といい美しさといい、何もかもが羨ましいが、とにかくノアが見つかって良かったと胸を撫で下ろす。
「無事で良かった。私はアーシェリアス。彼はザックよ。実はあなたのお母さんに話を聞いたの。でも、もうひとつ探してるものがあって」
「なぁに?」
人差し指を顎に添えて首を傾げるというアイドル技を繰り出したノア。
現代にいたら間違いなく売れっ子になれると確信しつつ、アーシェリアは「幻の果実って言われてる果物なの」と説明した。
「それならこの森を抜けた崖にあるよ。助けてもらったお礼に案内してあげる」
「本当!? ありがとう! やったねザック!」
「ああ」
喜びのままザックに笑みを向けたアーシェリアスが荷物を取って来ると場を離れると、ノアはザックをジッと見た。
「なんだ?」
「お兄さんは、お姉さんの恋人?」
「ち、違う」
ザックが動揺しつつも否定すると、ノアは「そうなんだ」と少し上機嫌になる。
不思議に思いながらもアーシェリアスが戻ると、一行はノアを先頭に崖の方へと移動を開始した。



