破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします


「カーシーはあなたを守っていたの?」

「うん、そうだよ。ボクの友達なの。いつもみたいに遊んでたらカプロスたちに囲まれちゃって。一度は隠れてやり過ごせたんだけど、霧も晴れたし帰ろうとしたら見つかっちゃったんだ」


そう言って、少女はアーシェリアスの手を離すとカーシーの元へと戻る。


「ありがとう。君がいてくれて助かったよ。怪我させてしまってごめんね」


少女が伝えると、カーシーは無事であることを喜ぶように少女に頭をこすりつけてから森の奥へと滑るように走り去った。

人に友好的な魔物もいるのは知っているが、実際に見たのは初めてで驚くアーシェリアスとザック。


「お姉さんたちは、ボクを探しに来てくれたの?」


首を傾げるボクっ娘(こ)少女に、アーシェリアスも首を傾げる。


(……ウエイトレスさんが若くて美人だからお子さんは小さな子だと思っていたけど、もしかして……)


先入観を捨て、もうひとつの可能性を頭にアーシェリアスは尋ねた。


「もしかして、あなたがノアちゃん?」

「うん! ノアです!」


元気よく答えたノアに、ウエイトレスの年齢が気になってしかたなくなったアーシェリアス。