破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

複数のギラつく瞳に一瞬怯んだアーシェリアスだったが、ゴクリと唾を飲み込んでじりじりと後ずさった。


「さあっ、食らえるものなら食らいに来なさい!」


挑発すると伝わったのか、全カプロスが足を蹴り上げ突進の準備を初める。

そして、十分に注意をひきつけカプロスらが走り出した瞬間、アーシェリアスは野球選手のごとく足を高く上げて……


「くらえっ、オッコ○ヌシの戦士たち!」


小麦粉爆弾を投げつけた。

空気中にうまく散らばった小麦粉は辺りを白く染め、カプロスたちの視界を奪う。

何が起きたのかと混乱し足踏みするカプロスたち。

次の瞬間、一匹のカプロスが声も出さずにドサリと地面に倒れた。

ピクリピクリと痙攣する間に、もう一匹、もう一匹と地面に伏していく。

そして、白さが薄まった時カプロスはすべてまともに動けなくなっていた。

立っているのは剣をかまえたザックのみ。

ザックが剣についた血を振り払うのを見たアーシェリアスは、さすがと思いつつも安堵し長い息を吐き出した。


「フォローありがとうザック!」

「勝手に決めて行くな。焦っただろ」

「ザックなら必ずやってくれるかなと思って」

「まったく……」


呆れつつも信頼されていたことが少し嬉しくて、ザックは思わず緩みそうになった頬を引き締める。