アーシェリアスは、前世で幼い頃、母と共におやつ用のおやきを家のキッチンで何度か作っている。

その時、おやきは地域によって呼び方が色々あり、おまんじゅうと呼ぶところもあると聞いたのを話しながら思い出す。


「おまんじゅうってなんだ？」

「細かいことはいいから食べてみて！ 結構上手に作れたと思うから」


アーシェリアスが勧めると、少年は小さい声で「いただきます」と言ってからおやきをひとくち食んだ。

そして、数度噛み締めた後、口内に広がったほのかな甘みに眉を上げて瞳を輝かせる。


「美味いし、甘い」

「さつまいもとリンゴを入れてあるの」


他にもさつまいもとレーズンの組み合わせで焼いたものもあり、そちらも食べるか聞くと、ひとつ目を食べきった少年はコクコクと頷いた。


「もちもちしてるのも美味い」

「気に入ってもらえて良かった！」


少年の食べっぷりと褒め言葉にアーシェリアスが嬉しそうな満面の笑みを見せる。

すると、おやきを頬張る少年の口の動きが遅くなり、膨らむ頬をほんのりと赤く染めた。