メインストリートと違い、人気もなくやや薄暗さを感じる細い道を進み、ちょうど身を隠せそうな大きさの観葉植物を見つけたので近づいたのだが。


「あ」

「……」


思わず声を漏らすアーシェリアスを無言で見上げるエメラルドグリーンの瞳。

綺麗な顔立ちをした金髪の少年が、退屈そうにあぐらをかいていた。


(先客がいたのね)


歳は自分と同じくらいだろうと推測しながら、アーシェリアスはとりあえずペコリとお辞儀をする。

すると、少年もぎこちなくはあるがお辞儀を返してくれた。


「あの、ごめんなさい。少しだけお邪魔してもいい?」

「……お前も隠れたいのか?」

「そうなの。ちょっと会いたくない人がそっちの通りにいて」


苦笑しつつも説明すると、少年は少しだけずれてアーシェリアスが隠れられるスペースを空けてくれる。


「ありがとう」


お礼を告げて遠慮なくそこに座ったアーシェリアス。


「あなたも誰かから隠れているの?」

「まぁ、そんなところ」

「そっか。気が合うね……というより、そっちも何だか大変そうね」


労いの言葉に、少年は肩をすくめて力ない笑みを浮かべた。


「そっちも、隠れなきゃならないなんて大変だな」

「フラグは折っておかないとね」

「フラグ?」

「そう。不幸な運命を回避する為にフラグを折りまくって抗うの」


自分を鼓舞するように背筋を真っ直ぐ伸ばすアーシェリアスは、少年のビー玉のような瞳を見つめる。