破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

それから数日後。


「買う物はこれで全部?」


紅茶の専門店から出ると、アーシェリアスはライラを見上げた。

心地よく晴れ渡る秋の青空に輝く太陽は、すでにてっぺんを過ぎ西へと傾き始めている。

アーシェリアスは、港へ視察に赴いている父と兄に差し入れを届けに向かっている最中だ。

ライラもメイド長から買い出しを頼まれており、それなら一緒にと共に市場へ訪れている。


「ええ、お嬢様……あっ、いけない! レオナルド様のお好きな茶葉を買い忘れてました!」

「じゃあ、私はここでショーウィンドウの商品を眺めているわ」


アーシェリアスは、店内でも少し気になっていた商品がショーウィンドウに飾られているのに気づき指差しながら伝えると、ライラは「すぐに戻りますね!」と再び店の扉を開けた。

すみませーんというライラの声は、扉が閉まると同時に聞こえなくなる。

そのタイミングで、アーシェリアスは少し前のめり気味にショーウィンドウを覗いた。

中に飾られているのはオススメのハーブティーだ。

前世では時々飲むこともあり嫌いではなかったが、いかんせんまだ体は子供。

あまり飲まない方がいいと前世で得た知識もあるので摂取は控えている。