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「アーシェリアスさん!」


温泉街が篝火やランプの灯りに照らされる時刻。

ゆらたま亭の食事処で、ウルバーノからのお礼である豪勢な夕食を終えたアーシェリアスたちは、部屋へ戻る為に廊下を歩いていたところ、女将に呼び止められ、深々と頭を下げられた。


「この度はありがとうございました。看板メニューのおかげでそのまま宿泊してくださったお客様もいて、なんと本日、満室になりました!」

「わっ、すごい!」


アーシェリアスが喜び混じりに驚き声を上げると、ノアが「おめでとうございますー」と小さく拍手する。

ザックとエヴァンも、いい結果が出せて良かったと頷き合い、女将は「本当に皆様のおかげです」とまたお辞儀をした。

続く女将の話では、明日も限定パンケーキが食べたいからと、泊っている客もいるらしい。

アーシェリアスのアイデアと、ザックたちの手伝いの甲斐があり、かつての賑わいを取り戻したゆらたま亭。

感極まり笑顔で瞳を潤ませる女将に、アーシェリアスもまた目尻に涙を浮かべた。


「お役に立てて良かったです」