破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

ザックは険しい顔つきで脱衣所内に視線を走らせる。


「アーシェ! 無事か!?」


どうやらアーシェリアスの悲鳴を聞いて駆けつけたらしい。

しかし、アーシェリアスは目の前の情報量の多さに混乱を極め、返事をするどころではない。

ザックの目が異変を探すも原因となるものは見つからず、何があったのかを尋ねようとエメラルドグリーンの瞳をアーシェリアスに向かわせようとしたその時。


「ハレンチガードォォォォッ!」


ザックを追ってきたエヴァンが、アーシェリアスとノアのあられもない姿を見せてはならぬと背後から両手を回しザックの目を塞ぐ。

ギリギリ、ザックの目にタオルで身体を隠すアーシェリアスの姿が映ることはなかったが、代わりにエヴァンの瞳はがっつりとアーシェリアスを捉えてしまう。


「ぬぁっ!?」


肩を滑り落ちる肩紐と、タオルでは隠しきれていない白い太もも。

羞恥に頬を赤く染めるアーシェリアスの姿に、エヴァンが顔を茹で蛸のようにした直後のこと。

鍛え抜かれた身体を持つエヴァンの腰に巻かれたタオルがハラリと床に落ちて、一糸纏わぬ身体を晒してしまう。

急いで身体を隠したいが、ザックの目をハレンチガードしているためにどうすることもできないエヴァンはとりあえず大きく息を吸って……


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


絶叫したのだった。