「このソフトクリームの優しい甘さ、濃厚な黒蜜の絶妙なハーモニー! こんなに美味しいアイスがあるなんて……」

「ああ、いいな。アイスクリームよりも柔らかくて口当たりもいい」


女将さんに続き、ウルバーノも舌鼓を打ち頷きながら堪能していく。

ちゃっかりアーシェリアスの隣に座るティーノも、色々な組み合わせで試食しながら「これは新しいな」と感嘆の声を漏らした。


「ソフトクリームのミルク感はなんだかほっとするね。黒蜜だけじゃなく、この餡子とも相性が良くて僕は好きだな」


わざと「好き」の部分でアーシェリアスの顔を覗き込むようにしたティーノだが、アーシェリアスは普通に褒められたと受け取り「気に入ってもらえて嬉しいです」と返す。

アーシェリアスを挟んで反対側の席に座っているザックは、ティーノを相手にしていないことに気を良くしながら、カットしたパンケーキに餡子を乗せて頬張った。


「甘い栗もいいな。これの栗の餡子、おやきに入れても美味そうだ」

「あ、それいいね。今度やってみようか!」


アーシェリアスはザックの提案に笑みを見せる。

ティーノに向ける他人行儀の笑みではなく、慣れ親しんだ者に対する心からの笑顔をザックは嬉しく思いながら、口内でさらりと溶ける滑らかなソフトクリームを味わった。